「チェスト」という掛け声は、
武道や格闘技において頻繁に耳にする言葉です。
特に、テレビドラマ「西郷どん」で
見せる薩摩藩士が敵を討つ際の掛け声としての使用は、
強烈な印象を残しています。
しかし、このユニークな掛け声は
一体どのような背景を持つのでしょうか？
掛け声「チェスト」の起源
示現流における独自の掛け声、
すなわち「猿叫」は「エイ！」と表されがちですが、
その勢いでさまざまに聞こえることがあります。
時には「キィエーイ！」と聞こえることもあれば、
「チェスト」と表現されることもあります。
しかし、これは一般的な誤解や
創作物の中での解釈に過ぎず、
実際には「キエー！」「キヤアァァァー！」
「チェーイ！」といった様々な形態をとり、
それらが混在することで「チェスト」という
表現が生まれました。
「チェスト」という言葉について
「チェスト」という言葉は、
鹿児島の言葉とされていますが、
その詳細な起源や意味に関しては複数の説があり、
はっきりとしたことはまだ解明されていません。
中でも一番信用されている説は、
薩摩藩、特に鹿児島に古くから伝わる
剣術である「示現流」との関連性です。
示現流の現代十二代目宗家、
東郷重徳氏（示現流東郷財団 理事長）によると、
「チェスト」とは、自分を鼓舞するために
用いられる気合の一種、「猿叫」として
使われる掛け声だと説明しています。
薩英戦争の際、薩摩の兵士が
英国兵との戦いで「チェスト」と
叫びながら自身の胸を指すことで、
「この部分を狙え」と意図したという話も伝わっています。
その他にも、「さあ、始めよう！」
という意味を持つとか、「考えるな、感じろ」と
いう心構えを示す言葉として解釈されるなど、
この掛け声の由来には様々な見解が存在し、
その全貌は今もって明らかになっていない状況です。
示現流と掛け声「チェスト」についての解説
示現流は、薩摩藩発祥の歴史ある剣術で、
創始者は東郷重位です。
今日に至るまで、この流派は
鹿児島で東郷家によって守り続けられています。
示現流の特徴
示現流剣術は、以下の特性を持つことで知られています：
– **猿叫の使用**：
独自の掛け声であり、精神的支柱として
技の実行に不可欠です。
– **実践向け設計**：
日常での実戦に役立つ技術を重視しています。
– **技術の深さ**：
外見からは想像もつかないほど複雑で、
習得には深い理解と長期の訓練が必要です。
– **攻撃的姿勢**：
他流派と比較して、
積極的な攻撃に重点を置いています。
– **初太刀の哲学**：
相手を初太刀で仕留めることを目指し、
この思想が全ての技に反映されています。
示現流の歴史
東郷重位は、異なる剣術流派から
学んだ知識を基に示現流を創立しました。
彼は島津家久の御前でその技を認められ、
薩摩藩の兵法師範に任命されました。
示現流は薩摩を中心に広まり、
幕末には多くの志士がこの流派を学びました。
新撰組の近藤勇も、
示現流剣士と対峙する際には、
その迅速な初太刀に注意を払うよう
発言していたと伝えられています。
まとめ
鹿児島を起源とする掛け声「チェスト」は、
示現流剣術における重要な要素です。
通常の励ます言葉としても用いられますが、
攻撃時の集中力を高めるために「チェスト」
という掛け声が特に使われます。
この流派では攻撃を最優先し、
掛け声を通じて剣士の精神を高め、
強力な一撃を可能にします。
