「リラ冷え」:北海道独自の気象用語の背景と使用時期

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知識
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地域によって異なる表現がある中で、
特定の地域限定で使われる言葉も
存在します。

その一つが、北海道で使用される
「リラ冷え」という言葉です。

この言葉は何を意味していて、
どの時期に使われるのか、また
他地域での類似の表現についても
見ていきましょう。

「リラ」とは何か?

「リラ」とは「ライラック」のことを
指し、ヨーロッパ原産の落葉樹です。

日本では「ムラサキハシドイ」とも
呼ばれており、英語では「lilac」と、
フランス語では「lilas」として知られて
います。

特に北海道札幌市ではライラックを
市のシンボルとしており、正式に
「市の木」とされています。

札幌市にライラックが広まったのは、
19世紀末にサラ・クララ・スミスが
アメリカから持ち込んだものが始まり
です。

札幌の冷涼な気候にもよく合っています。

ライラックが美しく咲く時期に見られる
特有の冷え込みを、「リラ冷え」と
呼んでいるのです。

「リラ冷え」とは?その起源と特徴

「リラ冷え」とは、5月中旬から6月上旬に
かけて、北海道でリラ(ライラック)の
花が満開の時期に一時的に気温が下がる
現象を指します。

この時期、オホーツク海からの冷たい
空気が流入し、普段は20度前後の気温が
10度台まで低下することがあります。

この表現は北海道特有ですが、本州では
似た現象を「寒の戻り」や「花冷え」と
呼びます。

これらは春先に気温が一時的に下がる
ことを示し、「寒の戻り」は2月から
4月にかけて、「花冷え」は3月末から
4月の桜の開花期に見られます。

「リラ冷え」という言葉は、1960年に
北海道出身の俳人、榛谷美枝子が詠んだ
「リラ冷えや すぐに甘えて この仔犬」
という俳句に初めて登場しました。

その後、1962年に「リラ冷えや 睡眠薬は
まだきいて」という俳句を詠み、この言葉は
春の季語として定着しました。

1971年には、作家の渡辺淳一が
「リラ冷えの街」という小説を発表し、
全国に広まったのです。

「蝦夷梅雨」の特徴とその時期

また、「リラ冷え」が起こる時期には、
北海道で「蝦夷梅雨」という気象現象も
発生します。

これは、オホーツク海高気圧の冷たく
湿った空気の影響で、湿度が上がり
数週間にわたって雨が続くことです。

この期間に急激な冷え込みが加わると、
「リラ冷え」となります。

本州の梅雨とは異なり、梅雨前線の影響を
受けないため、気象庁はこれを正式な
梅雨とは認めていません。

ライラックは北海道の冷涼な気候に
適しており、特に札幌市では市の木に
指定されています。

毎年5月中旬には「さっぽろライラック
まつり」が開催され、大通公園では
約400本のライラックが花開き、
多くの観光客で賑わいます。

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